宝石のような人たち

2023年に残しておきたい備忘録。
SixSTONSというグループを。SixSTONSというグループに属する6人に出会えて、心の底から良かったな、という話。

 

2023年4月。私は「だが、情熱はある 1話」を見ている。「まじで始まっちまったなぁ」と、どこにカテゴリー分けすればいいかも分からない感想を持ちながら見ていた。

 

少しだけ、横道に逸れて話す。

私はかれこれ10年以上、オードリーと西加奈子さんが好きだ。
アイデンティティが定まっていない思春期で出会った彼らは、私にとってキラキラと輝いていたし、なによりも、堅物で捻くれ者気質を持つ自分に優しい肯定感を教えてくれた。
彼らの言葉が大好きで、彼らの哀愁が大好きで、それでも前に進んでいる強さが大好きだ。
きっとずっと、彼らの事を憧れて尊敬して、そしてある種の信頼を抱きながら好きになり続けるのだろうな、と思っている。

 

そんなどうにも重い感情を持ってしまっているので、「だが、情熱はある」をドラマとしては楽しみにしながらも、整理できない程度の感情を持っていたことは否めない。

 

さて、「だが、情熱はある 1話」。そのED。
……イントロから良すぎない? CreepyNutsとは違うHIPHOP調、多分マイクリレーのラップ。てかそんなのどうでもいいからカッコいい。めちゃくちゃ興奮した。誰が歌っているんだ。誰が作ってるんだ。クレジット早く出ないかな。……いやクレジット出ないんかい!(あの時はクレジットが出なかったことにまじでイラついた)

 

こういう時に便利なのがTwitterだ。ドラマのハッシュタグを検索すれば、まぁ色んな人がツイートしている。
そこで知る。SixSTONSが歌っているんだ!こんな歌い方できたんだ!めちゃくちゃかっこいいね!

「だが、情熱はある」がこの楽曲が生まれるきっかけになっているのならば、それだけでこのドラマを楽しみにしていて良かった!とさえ思った。それくらいの大収穫だった。

 


SixTONESというグループはデビューの時に初めて知った。

オードリーが好きな関東圏民なので、スクール革命は結構見ていたし、つまりは高地優吾さんのことも認識はしていた。
ただ、好きな曲に「セロリ」とか「今」とか、男性アイドルが歌っているものはあれどもいかんせんアイドルそのものにどっぷりハマったことがないので、Hey!Say!Jumpの彼らを含め、詳しく知ろうとする機会はあまりなかった。
(NYCboysの「NYC」も知っていたけど、そこに高地優吾さんが入っていたことも知らない(もしくは忘れていた)くらいなので、スクール革命のことはただただ好きなバラエティ番組として見ていた)

なので、SixTONESのデビュー時の私は「髙地くん!デビューするの!?おめでとう!!」である。

その後は、デビュー前後のバラエティ番組ゲストで見かけて何名かメンバーの名前を覚えたり、歌番組で見かけたら見るくらいで、深く追いかけたことはなかった。

ただ、バラエティ番組や、その後始まったSixSTONSANN、GoodLuck!のパフォーマンスから「気の良い兄ちゃんたち」という印象があったので、何かきっかけがあればハマるかもしれないな~といううすーーい予感だけがほんのり残ることになる。でもね、もしもハマるならせっかくだし、楽曲でハマりたいじゃん。

 


そうして2023年4月に頭を殴られるような衝撃で聞いた「こっから」は、これ以上ないSixSTONSとの出会い直しだった。
MVが出たのを知ってすぐに見に行けば、コンセプトから何から好きな作品になっていて、ひれ伏すしかなかった。こんなとんでもない楽曲が登場してくれてありがとう。しかも「たりないふたり(CreepyNuts)」リスペクトの節がある、最高です……。
そこからYouTubeで「ABARERO」を見た。楽曲の攻撃性にやっぱ好きだな!となり、その後に自動再生された「人人人」で「あ。これ一生好きになる人たちだ」と変な確信を持ってしまった。

 

また横道世之介してしまうが、私の好きな音楽の根底にはのだめカンタービレの「楽しい音楽の時間です」というセリフがある。
SAKEROCKがラストライブ時に円状のステージで向かい合って音を奏でていた光景。日向坂46が「ドレミソラシド」でオーケストラのように向かい合って笑顔で踊る姿。CreepyNutsが「土産話」をパフォーマンスする時の空気。
彼ら自身が楽しんだ音楽が内側から膨らみ続け、感情が溢れるように外側に伝播するパフォーマンスが何より大好きだった。

 

その時と同じ「好き」が、「人人人」にはあった。
始まりのバンドサウンドからすでに好みだったが、そのイントロからフェイクを入れるメンバーがいて、それに「最高!」とでも言うように腕を挙げたり体を揺らし反応するSixSTONSのメンバーたち。歌が始まればもう言葉なんて何も出なかった。円状で向かい合って、お互いの音楽をその体に受けて呼応するように高まり続けるグルーヴに「この人たち、どこに行っちゃうんだろう」と思ったし、それがあまりに美しい光景に思えてちょっと泣きそうになった。しかも最後のアウトロでは気持ちの良いスキャット
「気の良い兄ちゃんたち」と思っていたSixSTONSは、引き続き「気の良い兄ちゃんたち」だけど「音楽が本当に楽しいんだろうな」という6人組になった。
……同世代でこんな良い音楽やってる人たち、好きにならないわけないじゃんね。

 

そうやってYouTubeを見ていたら更新されたのが「9マス鬼ごっこ」だったのでもう駄目だった。愉快な人たちすぎて大好きになってしまう。

 

「9マス鬼ごっこ」に限らずだけれど、「SixSTONS」というグループには既存のルールに捉われない自由を感じる。
ちゃんとハマって半年ほどしか経っていないけれど、YouTubeやラジオなどを見聞きする中で、「SixSTONS」というグループは自由に楽しんでいるようで、そこには秩序や責任が見える。
YouTubeの企画なんて自分たちで別のゲームを生み出して楽しんでいるけれど、そこには彼らなりの気遣いがあり、それがルールになり、心地の良い秩序に繋がる。

 

社会人になるとどうしたって責任とか理解とか納得できないことも結構あって、やりたい仕事ってなんだっけとか、譲れない自分の核とはなんだっけと分かんなくなってしまうし、そうやって何かが削られて何かを諦めて、何か大切なことを手放している気すらする。

そんな日常の中で、彼らの行動や言葉は、いつの日にかオードリーや西加奈子さんをうんと眩しく見ていた頃と同じように、キラキラとして見えた。

 

駄目押しとでもいうように良かったのが「音楽と人 2023年9月号」のインタビューだ。
そこには音楽に対する誠実さは元より、六者六様にSixSTONSの音楽の「らしさ」と「幅広い音楽性」と「最近ちょっと凝り固まっていたかも」を語っているが、6名全員がここまで近しい言葉で話すなんてこと、みんな集まって結構がっつりSixSTONSについて意識を共有していないとならないインタビューだろうし、そこで森本慎太郎さんと田中樹さんの話すSixSTONSの音楽に関するインタビューは本当に、良い。

新規ファンからしても彼らは6人全員で同じ方向を向いて「SixSTONS」をやっているんだと感じられる、本当に好きなインタビューだった。

 

初めて同世代にハマっているいることも重なっていて、彼らの語る言葉や行動、提供されるコンテンツに、私は勝手に希望や眩しさや力強さを感じている。
彼らがこんなにカッコいい音楽を信念持って続けるならば。彼らがこんなにも心地よい秩序ある自由をこれからも生み出してくれるならば。私も、自分の人生の中で少し頑張ってみようと思える。忘れてしまったものも、捨ててしまったものも諦めてしまったことも結構あるなぁと思うけど、それでもまだ忘れていない希望はあるし、捨てていない信念があるし、これから頑張りたい自分の人生がある。

 

今度のツアー名が「VVS」に決まったが、まさしく彼らの眩しさは原石から磨かれた宝石のようだし、私はこの出会いを生涯の宝箱に大切にしまっておくだろう。そして、きっとこれから先も、彼らが彼らである限り、私は彼らの姿を見て希望や元気をもらうのだろうし、その度に大切なことを思い出すんだろうな。


(蛇足)
自分自身の備忘録がてらの記載。

 

この文章は、6月に途中まで書いていたものを加筆修正したものだ。
「だが、情熱はある」の最終回前日に書き始めたら、その日に身内が倒れた。知ったのは翌日で、夜に出かけてから戻ってこない身内が気になり色々と問い合わせたら病院にいた。
危篤状態で、手術に同意したり諸々手続きの書類を書きながら、これ「だが、情熱はある」の最終回見れるのかなぁと呑気に家族待合室でボーっとしていた。まったく寝ていないのに眠くなかったし、食欲もなかったのに、身内の顔をみて安心で少し泣きはしたものの、想像以上に感情は凪いでいた。

一命を取り留めたはいいものの、重い障害は残ったので、彼女の生活を整えるのにまぁ時間がかかった。なんならまだ試行錯誤している。これからも最適解なんてない中で試行錯誤するんだろうと思う。介護って難しい。それでも、一命を取り留めただけすごいし、生命力だけは強かったので意思疎通を取れるくらい回復できたのは奇跡なんだと思う。

大変なのは彼女であって、私ができることは彼女ができる限り安全に生活できる場を整えてあげることくらいしかできないからとは言いつつ、ほかに身内がいないのでマンパワー的にどうしても疲れてしまうことがあったり、メンタル的にエネルギーが足りないなと思うこともあった。知り合いやソーシャルワーカーさんなど、様々な人への多大なる感謝は前提として、そういう時に元気をもらえたのが自分が好きな人たちのラジオや音楽や小説や言葉だった。
SixSTONSの音楽やYouTubeで楽しむ姿やラジオにはめちゃくちゃ元気をもらった。

 

そういう意味でも、どうしても2023年にまとめておきたくて、急いでこの文章をまとめている。

読み返した時に、こんなことがあったな!と思い出せますように。

 

全然思い出せない2023年の総括として。

(気になるところがあったら多分修正する)

2023.12.31